ホピ族アクセサリーを見ていると、銀色の模様と黒く落ち込んだ部分がくっきり分かれたリングやバングルをよく見かけます。
ターコイズを大きく使ったジュエリーとは違い、銀そのものの陰影で図柄を見せるオーバーレイがホピ族ジュエリーを知るうえで代表的な表現のひとつです。
ただし、「ホピ族=全部オーバーレイ」「このモチーフには必ずこの意味がある」と覚えてしまうと少し乱暴。
石や金などを取り入れた作家もいますし、作品に表れる図柄とホピの文化を単純な意味一覧だけで理解することもできません。
この記事では、ホピ族アクセサリーの特徴からオーバーレイの作り方、モチーフの見方、リングやブレスレットを通販で選ぶときのポイントまで順番に紹介します。
ホピ族アクセサリーの特徴は銀の模様にある
ホピ族は、現在のアメリカ・アリゾナ州北東部を中心に暮らす先住民族です。
Hopi Tribe公式サイトによると、ホピ保留地には3つのメサ(台地)に位置する村々などがあり、現在も独自の文化や言語、宗教を維持しています。
ジュエリーで特によく知られているのが、オーバーレイを使ったシルバーワーク。
| 見るポイント | ホピ族ジュエリーで見かける例 |
|---|---|
| 代表的な表現 | オーバーレイ |
| 見た目 | 銀色と黒く見える凹部のコントラスト |
| 図柄 | 幾何学的な模様、自然や生き物などを題材にした表現 |
| アイテム | リング、ブレスレット・バングル、ペンダント、バックルなど |
| 素材 | シルバーを中心に、作家によって石・金・木なども使われる |
特にオーバーレイ作品は、ターコイズの色ではなく銀板から切り出された線や余白そのものがデザインになるのが面白いところ。
同じインディアンジュエリーでも、細かな石細工で知られるズニ族アクセサリーとは見た目の方向性がかなり違います。
石を主役にした作品よりシルバーそのものを楽しみたい人なら、ホピ族の作品は見比べていて面白いはずです。
オーバーレイは2枚の銀を重ねて模様を作る
ホピ族アクセサリーを探すなら、「オーバーレイ」がどう作られているのかを知っておくと商品写真の見方も変わります。
一見すると黒い模様を描いているようにも見えますが、典型的なオーバーレイはもっと立体的な作りです。
切り抜いた銀を重ねて立体的な模様を出す
Heard Museumのホピに関する資料では、特徴的なホピのジュエリースタイルとしてオーバーレイを紹介しています。
基本的な構造は、模様を切り抜いた薄い銀を別の銀の上に重ねるもの。
さらに切り抜かれて奥になった部分を化学的に黒くすることで、上側の明るい銀とのコントラストが生まれます。
つまり、黒い模様を銀の表面にプリントしているわけではありません。
銀を切り抜いた高低差と黒く処理した凹部を組み合わせて、模様を浮かび上がらせていると考えると分かりやすいでしょう。
細い線が連続するもの、大胆に余白を取ったもの、リング全周に模様が続くものなど、同じオーバーレイでも雰囲気はさまざまです。
スタンプワークやインレイなどとの違いは、インディアンジュエリーの技法の名前入門でも整理しています。
現在につながるホピ独自の様式は20世紀に発展した
オーバーレイを「昔からまったく同じ形で作られてきた伝統技法」とだけ説明するのも正確ではありません。
Heard Museumの資料では、Mary-Russell Coltonがホピ独自のジュエリースタイルを奨励したことや、Fred KabotieとPaul Saufkieが第二次世界大戦から帰還した軍人向けのクラスを発展させたことが紹介されています。
こうした20世紀の動きのなかで、現在ホピジュエリーの特徴として知られるオーバーレイが広がっていきました。
ここで大事なのは「誰か一人がある日オーバーレイを発明した」と単純化しないこと。
ホピのジュエリーも時代とともに変化してきたものです。
ホピ族のジュエリーはオーバーレイだけではない
ホピ族アクセサリーを探していると銀一色のオーバーレイが多く出てくるため、「ホピ族は石を使わない」と思うかもしれません。
実際には、そこまできれいには分けられません。
Heard Museumは、ホピのジュエリーに大きな変化をもたらした作家としてCharles Lolomaを紹介しています。
Lolomaは銀だけでなく、
- 貴石・半貴石
- アイアンウッド
- ゴールド
- シルバー
などを使った作品を制作しました。
オーバーレイはホピ族ジュエリーを代表する表現のひとつですが、作家がホピ族だから必ずオーバーレイ、石が入っているからホピではない、という判断はできません。
部族ごとの特徴は入口として便利でも、最後は作品と作家を見る。
そのくらいの距離感でいた方が、いろいろなインディアンジュエリーを見比べやすくなります。
ホピのモチーフにはどんな意味がある?
ホピ族アクセサリーでは、さまざまな図柄が銀の中に表現されています。
通販サイトを見ていると、モチーフの横に「○○を意味する」「○○のお守り」といった短い説明が付いていることも少なくありません。
ただ、モチーフだけを見て意味を一対一で決めるのは避けた方がいいでしょう。
図柄だけを見て「○○=幸運」と決めつけない
Hopi Cultural Preservation Officeは、ホピの伝統知には複数のレベルのメッセージがあり、理解が深まるにつれて新しい教えを学んでいくものだと説明しています。
さらに、ホピの物語や儀礼、意匠などが文脈から切り離され、外部の人によって商業利用されてきた問題についても触れています。
アクセサリーを楽しむためにホピ文化の専門家になる必要はありません。
ただ、
「通販サイトにそう書いてあったから、この図柄の意味は絶対にこれ」
と決めてしまわないこと。
気になる作品なら、その作家自身や信頼できる販売店がどのように説明しているのかまで確認した方が、そのジュエリーをもう一段深く楽しめます。
ココペリはホピ族の作品にも登場する
「ココペリ ホピ族」と検索している人も多いと思います。
少なくとも、ホピ族アーティストがココペリを使った作品は実在します。
SmithsonianのNational Museum of the American Indianには、ホピ族アーティストVictor H. Coochwytewaが1960年に制作した「Belt buckle with Kokopelli design」が収蔵されています。
素材はシルバーで、技法には「Hammered, overlaid」と記録されています。
ここから確認できるのは、「ココペリを取り入れたホピ族作家のオーバーレイ作品がある」ということ。
逆に、ココペリが付いているだけでホピ族作家の作品だと判断することはできません。
現在はココペリを使った一般的なシルバーアクセサリーも販売されています。
モチーフと作り手は分けて見るのがポイントです。ただし、ココペリの図柄があるだけでホピ族作品と判断できるわけではありません。
ココペリの文化的な背景や意味、実際のジュエリーの選び方は、ココペリとは?インディアンジュエリーで見る意味と選び方で詳しく整理しています。
リング・ブレスレット・ペンダントは何を見て選ぶ?
ホピ族アクセサリーのデザインが気に入っても、実際に使いやすいかは別の話。
特に通販では実寸が分かりにくいため、アイテムごとに見る場所を変えます。
| アイテム | デザインで見るところ | サイズで確認したいところ |
|---|---|---|
| リング | 模様の細かさ、幅、全周のデザイン | 号数、最大幅、厚み |
| ブレスレット・バングル | 模様の広がり、存在感 | 内周、開口部、幅 |
| ペンダント | 図柄、縦横のバランス | トップ寸法、バチカン内径 |
リングは細身なら普段の服装にも合わせやすく、幅広になるほどオーバーレイの図柄をしっかり見せられます。
ただ、同じ号数でも幅の広いリングは着けた感覚が変わります。商品写真だけでなく最大幅も見ておきたいところ。
ホピ族のブレスレットやバングルは、手首を一周するように模様が続く作品もあり、オーバーレイの存在感を楽しみやすいアイテムです。
通販なら「メンズ」「レディース」という分類より、内周と開口部の実寸を優先した方が選びやすくなります。
ペンダントはリングやバングルほど身体のサイズに左右されません。
そのぶんデザインを基準に選びやすいものの、手持ちのチェーンを使うならバチカンの内径まで確認が必要です。
最初の一点だからといって、必ず代表的なモチーフを選ぶ必要もありません。
普段使いなら細身のリング、銀の模様をしっかり楽しみたいならバングル、サイズ選びを楽にしたいならペンダント。
使い方から逆算する方が失敗は減ります。
ホピ族アクセサリーを通販で買う前に確認したいこと
検索結果に「ホピ」と書かれていることと、その商品がホピ族アーティストによって制作されたことは同じではありません。
特に「ホピ風」「ココペリ」「ネイティブ系」といった言葉だけで探していると、一般的なシルバーアクセサリーも混ざってきます。
ここはデザインと出自を分けて確認したいところです。
作家名と部族表記を確認する
米国ではIndian Arts and Crafts Act(IACA)により、先住民の美術・工芸品について誤解を招く販売表示が禁止されています。
特定の部族名を使う場合も、その部族のメンバーまたは部族から認定されたIndian artisanが制作していない商品を、その部族の作品であるかのように販売することは認められていません。
米国内務省のIndian Arts and Crafts Actを見る
日本で通販するときにも、
- 作家名
- 所属部族
- 使用素材
- サイズ
- 新品か中古か
- 中古なら傷や補修の状態
あたりは確認しておきたいところです。
刻印やホールマークがあれば作家を調べる手がかりにはなります。
ただし、刻印ひとつだけを根拠に本物・偽物を断定するのは避けた方がいいでしょう。
まず商品説明で誰の作品として販売されているのかを確認し、価格の高いものほど販売店の説明や来歴まで見ておく方が確実です。
サイズ・素材・状態まで商品説明を見る
中古のホピ族ジュエリーでは、シルバーの傷や変形だけでなく、オーバーレイ部分の状態も写真で確認します。
例えば、
- リングやバングルが大きく変形していないか
- 深い傷が入っていないか
- ロウ付け部分などに補修の記載がないか
- 作家名や素材が明記されているか
- 実寸が掲載されているか
といった点です。
オーバーレイの場合、凹んだ部分が黒く見えること自体は不自然ではありません。先ほど紹介したとおり、黒い部分もデザインを際立たせる表現の一部です。
黒さだけを見て「汚れている」と判断しないようにしましょう。
インディアンジュエリーの価格差が大きくて判断しづらい場合は、インディアンジュエリーが高い理由と損しない選び方も参考になります。
楽天市場やAmazonでも「ホピ族」で商品を探せますが、検索結果にはホピ族作家の作品とは限らない商品も混ざります。
作家名まで書かれているか、一点ずつ商品説明を見るのが前提です。
まだリング・バングルなど何を選ぶか決まっていないなら、インディアンジュエリー初心者の選び方からサイズや形を絞っていく方法もあります。
ホピ族アクセサリーの特徴まとめ
ホピ族アクセサリーを知るなら、まずオーバーレイから見ると特徴をつかみやすくなります。
銀を重ね、切り抜いた部分との高低差と色のコントラストで模様を見せるオーバーレイ。石を主役にしなくても、シルバーだけでかなり表情のある作品になります。
一方で、ホピ族のジュエリーがすべてオーバーレイというわけではありません。
石や金などを取り入れた作家もいれば、作品に使われるモチーフも単純な「意味一覧」だけでは捉えられないものです。
通販で選ぶなら、デザインを見るだけでなく作家名・部族表記・素材・サイズ・状態まで確認すること。
「ホピっぽいアクセサリー」と「ホピ族アーティストが作ったジュエリー」を分けて見られるようになると、商品選びもかなりしやすくなります。
