インディアンジュエリーを使っていると、シルバーが黒ずんだり、くすんで見えたりすることがあります。
「シルバークロスで全部磨けばいい」と思いがちですが、インディアンジュエリーは少し注意が必要です。
特にターコイズやシェルが付いた作品、黒いいぶしを生かした作品は、普通のシルバーアクセサリーと同じ感覚で磨くと風合いを変えてしまうことがあります。
まず覚えておきたいのはこの違いです。
| ジュエリーの状態 | 基本のお手入れ |
|---|---|
| 石のないシルバー | 柔らかい布で拭く。黒ずみが気になる部分はシルバークロス |
| ターコイズ・シェル付き | 柔らかい布が基本。石はシルバークロスで磨かない |
| いぶし・オールドスタイル | 黒い部分まで磨きすぎない |
| インレイ・ヴィンテージ | 水やクリーナーを安易に使わず、状態によっては専門店へ |
全部をピカピカにする必要はありません。
むしろインディアンジュエリーの場合、素材と仕上げを見ながら「どこまで磨くか」を決めるのが大切です。
インディアンジュエリーのお手入れは「石付きか」で変わる
シルバー部分の黒ずみは、銀が硫黄成分などと反応して起こる変化です。汗や皮脂が付いた状態で放置すると、変色が進みやすくなることもあります。
そのため、石の付いていないシンプルなシルバーなら、それほど難しい手入れは必要ありません。
シンプルなシルバージュエリーは、シルバー磨き専用のクロスを使って定期的に手入れするだけです。
厄介なのはターコイズやシェルなどが組み合わされた作品。
銀部分には使える手入れ方法でも、石やインレイには向かない場合があります。
また、インディアンジュエリーには黒いいぶしや使い込んだような仕上げ自体をデザインとして生かした作品もあります。
素材そのものの違いについては、インディアンジュエリーと一般的なシルバーアクセの違いでも詳しくまとめています。
普段のお手入れは柔らかい布で拭くだけでいい
毎回シルバークロスで念入りに磨く必要はありません。
普段使いなら、着用後に乾いた柔らかい布で軽く拭く程度から始めれば十分です。
着用後は汗や皮脂を拭き取る
リングやバングル、ネックレスは肌に直接触れる時間が長く、汗や皮脂、化粧品などが付着します。
外したあとに柔らかいコットン布などでサッと拭いておくだけでも、汚れを残しにくくなります。
インディアンジュエリー専門店のマライカでも、日常的なお手入れには乾いた柔らかいコットン布を案内しています。
特別な道具を毎日使うより、「使ったら軽く拭く」を習慣にする方が手軽です。
シルバークロスは毎回使わなくていい
シルバークロスは黒ずみが目立ってきたときに使います。
銀磨き用のクロスには研磨剤などを含む製品があり、普通の布と同じものではありません。
黒ずみを落とすには便利ですが、毎回ジュエリー全体を強く磨く必要はなし。
普段は柔らかい布、黒ずみが気になったときだけシルバークロス。このくらいに分けておくと扱いやすいでしょう。
黒ずみが気になるときの落とし方
「昔より黒くなった」と感じても、すぐに故障や劣化と考える必要はありません。
シルバー特有の黒ずみなら、磨くことで見た目を整えられる場合があります。
石のないシルバーなら磨きクロスが使いやすい
最初に試しやすいのが銀磨き用のクロスです。
表面を強くこするのではなく、明るくしたい部分を少しずつ磨いて状態を確認します。
特に凹凸の多いバングルやリングは、全面を均一に磨こうとしない方が無難。
黒ずみが気になる平らな銀部分だけ磨くくらいから始めます。
黒い部分を全部ピカピカにしない
インディアンジュエリーでは、模様の凹部を黒く見せることで立体感を出した作品があります。
この黒さまで汚れだと思って磨いてしまうと、本来の陰影が弱くなってしまうことも。
マライカも、いぶしの入った作品やオールドスタイル仕上げについては、あまり磨かず風合いを楽しむ方法を紹介しています。
「黒い=全部落とす」ではないのが、普通の銀製品のお手入れとの違いです。
重曹や液体クリーナーは作品を見て判断する
重曹を使ったシルバーのお手入れ方法も知られていますが、インディアンジュエリーでは最初の選択肢にしなくていいと思います。
石が付いていたり、いぶしが入っていたり、表面に独特の仕上げが施されていたりするためです。
液体タイプのシルバークリーナーも同様で、製品によって使用できる素材が違います。
石のない単純なシルバー製品なら使える方法でも、ターコイズやシェル、インレイまでまとめて浸けるのは避けるのが無難です。
迷ったら、まず乾拭き→必要な銀部分だけシルバークロス。それでも落ちない場合に購入店や専門店へ確認する方が失敗しにくくなります。
ターコイズ付きはシルバーと同じ手入れをしない
ターコイズ付きのジュエリーは、ここまでの方法をそのまま全体へ使わないようにします。
ターコイズは銀とは性質が違うためです。
ターコイズをシルバークロスで磨かない
シルバークロスは銀部分のためのものです。
ターコイズやシェルなどの石部分まで一緒にゴシゴシ磨く必要はありません。
マライカも、ターコイズなどの石部分やゴールド部分をシルバー磨き布で磨かないよう案内しています。
石付きの場合は、石を避けて銀部分だけを磨くと覚えておけば分かりやすいでしょう。
液体クリーナーや超音波洗浄は避ける
GIA(米国宝石学会)のターコイズのお手入れガイドでは、ターコイズの洗浄に温かい石鹸水は使用できる一方、超音波洗浄器とスチームクリーナーは使用しないよう案内しています。
さらにターコイズは、化学薬品や化粧品、皮脂、汗などによって変色する可能性があります。
家庭で強い洗浄をする必要はありません。
特に由来や処理方法が分からないターコイズなら、余計なことをせず柔らかい布で扱う方が安全です。
「ターコイズは水に触れたらダメ」とは限らない
ここは少しややこしいところです。
GIAの案内を見る限り、ターコイズという宝石自体は温かい石鹸水で洗浄できます。
それなら「インディアンジュエリーも水洗いしていいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、完成したジュエリーでは事情が変わります。
専門店のSUNDAY MARCH 30では、シルバーとターコイズやシェルの間に水が入り、内部の素材へ影響して石が外れる原因になる可能性があるとして、入浴や水仕事では外すよう案内しています。
つまり、
ターコイズそのものが水に触れた瞬間ダメなのではなく、ジュエリー全体の構造まで考えると水に浸けない方が扱いやすい
ということ。
石留めや内部構造が分からない作品なら、この考え方で扱うのが無難です。
お風呂・温泉・水仕事では外した方がいい
普段どこまで気にすればいいのか、日常生活で整理するとこんな感じです。
| 場面 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 普段の着用・汗 | 使用後に拭く |
| 手洗い | できれば濡らさない |
| 水仕事 | 外す |
| お風呂・シャワー | 外す |
| 温泉 | 外す |
| 海・プール | 外す |
汗を一滴も付けないように使うのは現実的ではありません。
気にしたいのは、濡れた状態や汚れが付いた状態で長時間放置しないことです。
特に温泉は銀の変色につながる成分を含む場合がありますし、石付きならジュエリー全体を濡らすことにもなります。
海やプールも同じ。わざわざ着けたまま入るメリットはほとんどありません。
アクセサリーを外してから入る。この方がシンプルです。
使わないときは汚れを拭いてから保管する
しばらく使わないジュエリーは、そのまま棚へ置いておくより、汗や皮脂を軽く拭き取ってからしまいます。
シルバーの変色を抑えたい場合は、空気に触れにくい袋へ入れて保管する方法もあります。SUNDAY MARCH 30でも、長期間保管するときは密閉できる袋を使用する方法が紹介されています。
複数のジュエリーを同じ袋へまとめるより、ぶつかって傷が付かないよう分けておく方が扱いやすいでしょう。
特にターコイズやシェルを使ったリング、インレイ作品、古いヴィンテージ品は個別にしておきたいところです。
保管前に磨き上げる必要まではありません。
汚れを軽く拭く→乾いた状態で個別にしまう。
日常の管理ならこれくらいでも十分です。
自分で磨かず専門店へ相談した方がいい状態
黒ずみだけなら自宅で対処できることも多いですが、次の状態なら「とりあえず磨く」は一度止めた方がいいでしょう。
- ターコイズなどの石が動く
- インレイに隙間や欠けがある
- バングルやリングが大きく変形している
- 石の表面や色が明らかに変化している
- ヴィンテージなど価値を判断しにくい作品
- 高額な作家物で仕上げを変えたくない
汚れではなく、石留めやジュエリー自体の問題なら磨いても直りません。
購入した専門店やインディアンジュエリーを扱う修理店へ相談した方がいいケースです。
特にヴィンテージ作品は、経年変化まで含めて魅力になっている場合があります。
新品のように戻すことが正解とは限りません。
インディアンジュエリーは磨きすぎないくらいでちょうどいい
インディアンジュエリーのお手入れは、意外と難しいことをする必要はありません。
普段の扱いをまとめると、
- 着用後は柔らかい布で汗や皮脂を拭く
- 黒ずみが気になる銀部分だけシルバークロスを使う
- ターコイズやシェルはシルバークロスで磨かない
- いぶしや古い風合いまで落とそうとしない
- 石付きは水や液体クリーナーへ安易に浸けない
- 入浴、水仕事、温泉、海やプールでは外す
- 石のぐらつきや欠けがあれば自分で直そうとしない
このあたりを押さえておけば十分です。
ピカピカにすることより、その作品がもともと持っている仕上げを崩さず使い続けることを優先したいところ。
普段は乾拭き、黒ずんだら必要なところだけ磨く。
それくらいの付き合い方が、インディアンジュエリーにはちょうどいいと思います。
