インディアンジュエリーを見ていると、「普通のシルバーアクセと何が違うんだろう?」と疑問に思うことがあります。
ターコイズが付いているものもあれば、石を使わず銀だけで作られたバングルやリングもあります。裏側を見ると「STERLING」や「925」の刻印が入っていることも。
ここで最初に整理しておきたいのが、インディアンジュエリーとシルバーアクセは、そもそも二者択一ではないということです。
スターリングシルバーで作られたインディアンジュエリーなら、それはシルバーアクセでもあります。
違いを見るときに重要なのは銀の種類だけではなく、誰が作ったものなのか、どのような背景を持つ作品なのかという点です。
インディアンジュエリーとシルバーアクセは何が違う?
大まかに整理すると、こんな違いがあります。
| 比べるところ | インディアンジュエリー | 一般的なシルバーアクセ |
|---|---|---|
| 分類の中心 | 作り手や文化的背景 | 主に素材 |
| 作り手 | ネイティブアメリカンの作家・職人 | ブランド、メーカー、個人作家などさまざま |
| 素材 | シルバー、ターコイズ、貝、石、ビーズなど | シルバー925など銀合金が中心 |
| デザイン | 作家や所属する部族・プエブロ、技法によって大きく異なる | ブランドやデザイナーによって異なる |
| 刻印 | 作家のホールマーク、STERLINGなどが見られることがある | 925、SV925、STERLING、ブランド刻印など |
| 選ぶとき | 作家名、所属、技法、素材、販売店まで確認したい | 素材、ブランド、デザイン、価格などから選べる |
つまり、「ターコイズが付いているからインディアンジュエリー」「925なら普通のシルバーアクセ」という分け方ではありません。
見た目ではなく、作品の出自を見る必要があります。
インディアンジュエリーそのものの定義やナバホ・ホピ・ズニなどの違いについては、インディアンジュエリーとは?種類・特徴と本物の見分け方でも詳しく整理しています。
インディアンジュエリーを分けるのは銀の種類より「誰が作ったか」
インディアンジュエリーにはシルバーを使った作品が多くあります。
ただし、シルバーという素材を使えばインディアンジュエリーになるわけではありません。
米国ではこの点がかなり明確です。
米国内務省のインディアン芸術工芸委員会が案内する「Indian Arts and Crafts Act」では、米国内で商品を「Indian produced」などとして販売する際、作り手が認定された部族の構成員などであることが重要になります。
たとえば、ナバホジュエリーとして表示しながら実際にはナバホ・ネーションの構成員ではない人が作った商品を販売することは、同法に抵触する可能性があります。
これは「どんな模様か」ではなく、誰が作ったものとして商品を表示するかを問題にしているということです。
日本国内で「インディアンジュエリー」という言葉が使われる場面と米国法の適用範囲は同じではありませんが、購入するときの考え方としては参考になります。
インディアン風の模様が入ったシルバーアクセと、ネイティブアメリカンの作家による作品は分けて見た方がいいでしょう。
シルバー925とスターリングシルバーはインディアンジュエリーにも使われる
では、素材は同じなのでしょうか。
ここは「同じものも多い」が答えです。
シルバーアクセでおなじみの「925」は、1000分の925、つまり92.5%が銀であることを表す品位表示です。
米連邦取引委員会(FTC)も、925という表示について1000分の925が純銀であることを意味すると説明しています。
「STERLING(スターリング)」も、銀を92.5%以上含むものに使われる表記です。
そのため、
- 一般ブランドのシルバー925リング
- ネイティブアメリカン作家がスターリングシルバーで作ったバングル
は、どちらも銀の品位だけを見れば近い素材を使っていることがあります。
素材が同じでも、作品としての分類や価値まで同じになるわけではありません。
ここが混同しやすいところです。
925やSTERLINGの刻印だけでは本物と判断できない
インディアンジュエリーの裏側に「STERLING」と入っていることがあります。
しかし、これは基本的に素材についての表示です。
「STERLINGと書いてある=ネイティブアメリカン作家の作品」という証明にはなりません。
作家を確認するときは、そのほかに入っているアルファベットや記号などのホールマークも手掛かりになります。
ただし、ここでも注意が必要。
古い作品などではホールマークがないこともあるため、
刻印あり=必ず本物 刻印なし=必ず偽物
と単純には判定できません。
通販で購入するなら、刻印だけを見るのではなく、作家名、所属する部族・プエブロ、素材、販売店の商品説明まで確認したいところです。
見た目にも違いはあるが、デザインだけでは判断できない
インディアンジュエリーというと、ターコイズ、大きなシルバーバングル、スタンプ模様などを想像するかもしれません。
確かにそうした作品は存在します。
ただ、全部が同じではありません。
たとえばナバホ/ディネのジュエリーでは、スタンプワークやターコイズ、鋳造など幅広い表現が見られます。
ナバホ族のインディアンジュエリーで紹介しているように、石を使わずシルバーだけで仕上げた作品も少なくありません。
ホピのジュエリーではオーバーレイがよく知られていますが、それだけでホピの作品と断定できるわけではありません。
ホピ族アクセサリーの特徴を見ると、同じ銀色のジュエリーでもナバホとはかなり印象が違います。
ズニの作品では、細かく加工したターコイズや貝などを組み合わせるインレイ、ニードルポイント、クラスターといった石の表現がよく知られています。
こちらはズニ族ジュエリーの特徴で実際の違いを整理しています。
作家による違いも大きいため、「この模様なら○○族」と見た目だけで決めつけない方が安全です。
「インディアン風シルバー」とインディアンジュエリーは同じではない
ネット通販では、フェザーやアロー、ターコイズなどを使ったアクセサリーが「ネイティブ系」「インディアン風」として販売されていることがあります。
こうしたデザインを楽しむこと自体に問題があるわけではありません。
ただ、それとネイティブアメリカンの作家が制作したインディアンジュエリーは分けて考える必要があります。
見分けたいときは、
- 作家名が記載されているか
- 所属する部族・プエブロが確認できるか
- 素材が具体的に書かれているか
- ホールマークについて説明があるか
- 販売店が作品の来歴を説明しているか
あたりを確認します。
単に「シルバー925」「ターコイズ」「ネイティブ柄」と書かれているだけでは、インディアンジュエリーである根拠にはなりません。
結局どちらを選べばいい?
ここまで整理すると、どちらが上という話ではないことが分かります。
欲しいものによって選び方が変わります。
| 欲しいもの | 向いている探し方 |
|---|---|
| シンプルな銀のリングやネックレス | シルバーアクセ全般から探す |
| ブランドのデザインを楽しみたい | 好きなシルバーブランドから選ぶ |
| 作家の手仕事や技法まで楽しみたい | インディアンジュエリーから探す |
| ナバホ・ホピ・ズニなどの作品に興味がある | 作家名や所属まで確認して選ぶ |
| ターコイズ作品が欲しい | 石だけでなく作家・素材・サイズまで見る |
「シルバーが好き」が入口なら、必ずしもインディアンジュエリーに限定する必要はありません。
逆に、同じ銀製品でも作り手や技法、作品の背景まで知りたいなら、インディアンジュエリーはかなり面白い選択肢になります。
初めて実際に1点選ぶ段階なら、インディアンジュエリー初心者は何から選ぶ?で、リング・バングル・ネックレスから選ぶ順番をまとめています。
お手入れは「インディアンジュエリーだから」ではなく作品の素材を見る
シルバー製なら黒ずみが出ることがありますが、インディアンジュエリーではターコイズやシェル、いぶし仕上げなどが組み合わされていることがあります。
そのため、銀部分だけを見てジュエリー全体へシルバークリーナーを使うのは避けたいところ。
石の有無や仕上げによって扱いを変えます。
具体的な黒ずみの落とし方や石付き作品の注意点は、インディアンジュエリーのお手入れ方法でまとめています。
インディアンジュエリーとシルバーアクセの違いは素材だけではない
インディアンジュエリーと一般的なシルバーアクセは、完全に別のものではありません。
スターリングシルバー製のインディアンジュエリーなら、同時にシルバーアクセでもあります。
違いを知るときに見るべきなのは、
- 925やSTERLINGは銀の品位を示すもの
- インディアンジュエリーかどうかは作り手や背景が重要
- ターコイズや模様だけでは判断できない
- ホールマークは作家を調べる手掛かりになるが、それだけで真贋は断定できない
- 見た目が似た「ネイティブ系シルバー」と作家物は分けて考える
という点です。
シルバーという素材が好きなのか、それとも作家や技法まで含めた作品に惹かれているのか。
ここが分かると、自分が探したいジュエリーもかなりはっきりしてきます。
